消費者行動/心理を把握する2つの調査結果【eMarketer】

マーケティング分野の動向/調査を掲載するサイトのeMarketerに、消費者動向に関するユニークなレポートが2つ挙がっている。

 消費者動向に関するユニークなレポートとは、2014年3月3日に掲載された“What’s the Upside to Shopping Cart Abandonment?”(「ショッピングカート廃棄に対する良い面とは?」)と、翌3月4日に掲載された“Shoppers Look for Quality―Not Deals”(「買い物客は価格ではなく品質重視」)。

 まず、前者のショッピングカート廃棄について。ECサイト運営者を悩ますのが、ショッピングカートに品物を入れたものの、最後の購買に至らず買い物を“ほったらかし”にされること、いわゆる「ショッピングカートの廃棄問題」だ。

 ちなみにMarketLiveの調査によると、ショッピングカートの廃棄率は全体の3分の2ほどで、ここ数年ほとんど変化はない。ちなみに2013年第4四半期に至っては、前期70.0%の廃棄率に対し67.9%と、わずかながら向上している。ECサイト運営者が思うほど、カート廃棄率がきわめて高いというわけではない。

 では、なぜカート廃棄率を問題にするのか。

 最大の理由は、ECサイトの行動を「買い物」単位で見ていること。買い物セッションではなく、サイトに訪問してきた顧客単位で分析する(訪問者中心アプローチ:visitor-centric approach)プロセスを確立すれば、廃棄されたカートも大きな意味を持つようになる。実際、顧客は実際の買い物の前に何度もサイトを訪れるものだし、カートの中にある品物を見れば顧客の好みも把握できる。また、顧客の購買プロセスをたどることで、いつ買い物をするかという予測も可能になる。

 もし実際の店舗とECサイトを併用しているのならば、実店舗での購買行動とECサイトの購買行動を組み合わせて、カートに入っていた品物がどのチャネルで購入されたかを確認するのも有効だ。これにより、顧客ごとの購買プロセスを分析できる。

 さらに、カスタマーロイヤルティプログラムやメールマガジン経由でどれだけ売り上げがあったか、顧客ごとに見ていくのも良い。それでもオムニチャネルにおけるアトリビューションを把握するのは困難だが、カートの廃棄率にこだわるよりも、それを活用してより良いマーケティング施策につなげていくことがマーケターの本分だ。

 一方、消費者心理として、買い物の際に最もこだわるのが、価格よりも「品質」だという。これは2014年2月、デューク大学フュークア・スクール・オブ・ビジネスの調査で判明したもの。マーケターを対象にした同調査によると、米国消費者が買い物時に最も重視する項目は「商品の品質」で、この傾向は2013年8月の22.7%から、今年2月は31.0%と大きく伸びている。

 ちなみに2位は、昨夏は「低価格」(21.0%)だったが、先月時点では「信頼性」(18.7%)を挙げるマーケターが多かった。現時点で低価格を重視する人は16.8%で、4位にまで下がっている。よって、マーケティングでは価格より品質重視の打ち出しを展開しているそうだ。

 ただ、アパレル分野のECサイトになると少し様子は異なってくるようだ。Cotton Incorporatedによると、「衣類の品質」は買い物時の懸念事項の第2位。最も懸念されていたのは「返品ルール」で、わずか1%の差でトップ事項となった。また、顧客の4分の3が「試着できないこと」を懸念点として挙げており、60%の人が「買い物前に実際に商品品質を確かめられないこと」としている。こうしたことから、アパレル業界にとっては、特に実店舗とECサイトの併用の中で顧客が行動することが多いようだ。