IT pro by 日経コンピュータより
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140317/544023/
「SNSはブランディングに効果あり」
「海外旅行販売をテーマにしたフェイスブックの公式ページについてマーケティング効果を調べたところ、ブランディングやロイヤルティーを高めるのに効果があると分かった」。エイチ・アイ・エス(HIS)でデータ分析を手掛ける山岡隆志本社事業開発室室長は日経情報ストラテジーの取材に応じ、こう明らかにした。
HISは2010年10月、公式フェイスブックページ(写真)を立ち上げて、野球観戦ツアーなどの紹介や、写真を使った観光名所当てクイズなど、海外旅行を中心としたコンテンツを公開。飽きさせないコンテンツを日々提供することで、24万以上のファンを擁するページになっている。
ただしフェイスブックをはじめとするSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使ったマーケティングでは一般に、実施効果がなかなかつかめないもの。「当社の公式ページを対象に、どのような効果があるのか、調べてみることにした」と、山岡室長は話す。
そこでHISの山岡室長は、HISのフェイスブックページのファン509人と、ファンではない一般のインターネット利用者550人を対象に、インターネット調査を実施。2014年1月から2月にかけてそれぞれアンケートを行い、両者の違いを比べた。
その結果、ファン全体の57%が、海外旅行関連で最初に思いつくブランドがHISだと回答。一般でそう答えたのは26%にとどまった。「ソーシャルメディアを使ったマーケティングは、ブランディング強化に効果があることが分かった」と山岡室長は話す。
また過去2年間、海外旅行の検討や旅行商品の購入で、どの海外旅行ブランドを利用したかを尋ねたところ、ファンの60%以上がHISと回答。一方で、一般でHISを利用した割合は30%前後だったので、約2倍の差がついた。旅行商品を購入したのはHISと答えた割合も、ファンでは半数超えだったのに対し、一般では4分の1と差がついた。この調査結果から、フェイスブックでファンを多く獲得することが、購入割合を高める上で重要だということが見えてくる。
ただし山岡室長によると、フェイスブック上で旅行商品の購入を促すコンテンツを出しても、それが購入にはなかなか結びついていないことも行動分析で分かっているという。「フェイスブックでは、ブランディングやロイヤルティーを高めることを第一に考えることが大切のようだ」。山岡室長はこう指摘する。
「公式フェイスブックページを立ち上げてはいるものの、マーケティング効果がはっきりしない」という企業は多いはず。HISのように、ファンと一般を比較する調査を行うと、その効果や、フェイスブック上で行うべきマーケティング施策が、企業それぞれで見えてくるかもしれない。